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聴講メモ: 2022 FMA Annual Meeting

10/19-22に開催された2022 FMA Annual Meeting@Atlantaに参加。海外の学会に参加するのは、2019年6月以来のこと。以下、とくに印象に残った研究展望報告。

Session 040 – Overview & Research Ideas Session
Valuing Data as an Asset
Laura Veldkamp, Columbia Business School
商取引に付随して蓄積されるビッグデータの資産価値の計測に関する理論と実証方法について。値段がないため計測が難しいが、理論ではraw data→structured data→knowledgeという生産工程からのアプローチと、利益の増大やリスクの減少という利得からのアプローチを解説。実証方法としては、Cost accounting, Complementary inputs, Value functions, Revenue, Choice covariance, Intangibles approachがあるが、それぞれ一長一短があるので、分析対象に応じて使い分けることを勧めていた。IOっぽい話だが、リスクの減少に着目している点や、ビッグデータに基づく選択とその選択から得られる利得の共分散構造(Choice covariance)を考慮している点はファイナンスっぽい印象をもった。

Session 121 – Overview & Research Ideas Session
Two Dogmas of the Consumption CAPM
Lu Zhang, Ohio State University
consumption CAPMはクロスセクションデータの実証分析で当てはまりが悪いことを踏まえて、investment CAPMを提唱(“Firms, not investors, are the primary causal powers of asset prices of their own stocks.”)。一方、consumption CAPMは時系列データでは当てはまりがよい点について、ミクロのファイナンスとマクロのファイナンスを分けて考えるべきだと提唱(”Macro/micro finance as two separate, autonomous strata with different causal structures.”)。asset pricingは門外漢だが、スケールの大きな話とそれを支える論文をコンスタントにpublishし続けていることに感銘を受けた。ちなみに、過去2年間は哲学や他の社会科学の文献を読み漁った由。

Last update: 2022.10.24

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