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聴講メモ: Does State-mandated Financial Education Affect Financial Well-being?

“Does State-mandated Financial Education Affect Financial Well-being?”(古いバージョンはこれらしい)

U of St Andrewsで初めてのFinanceセミナー。アメリカの高校での金融教育の義務化が個人のFinancial Well-Being(FWB: お金についての安心感が高く、現在から将来にかけての選択の自由が確保されていると感じる状態)に及ぼす影響についての実証論文。主要な結論は、金融教育は男性と大卒以上の個人のFWBを高める一方、FWBの水準がもともと低い女性と高卒のFWBを改善する効果はない(女性には有意な影響がなく、高卒は低下)。

貢献として、FWBという主観的指標を用いていること、金融教育の影響の異質性を明らかにしたことを指摘していた。前者については、金融教育に関する先行研究では客観的なoutcome指標を用いることが多いが、理論的には効用に近い主観的指標が望ましいとのこと。分析方法は、金融教育の義務化が州ごとに異なる時期にスタートしたことを利用したtwo-way fixed effect DID(state FEとyear FE)。頑健性チェックとして、分析期間中にずっとtreatment, non-treatmentに分類される州、経時的な変化がlinearでない場合への対処を行っていた。

日本でも高校で金融教育の義務化がスタートしたこともあり、関心をもって聴講。結果の解釈など、いろいろと聞いてみたいことがあったが、あまり質問できず。Wilson先生の好意でセミナー後の報告者とのランチにも帯同させてもらったにもかかわらず、うまく会話に参加できず機会を活かせなかった…(反省)。

Last update: 2023.05.12

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