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聴講メモ: Short Campaigns by Hedge Funds
“Short Campaigns by Hedge Funds“
UoSCのFinanceセミナー。アクティビスト・ヘッジファンドによるshort campaignとターゲット企業の株価、経営との関係をみた実証論文。short campaingsというのは初耳だったが、ヘッジファンド等が投資家向けコンファレンスやマスメディアでannounceして空売りを仕かけることらしい。アクティビスト・ヘッジファンドというと、ターゲット企業の株式を買い集めて経営に圧力をかけるlong campaignが注目されることが多いが、short campaignの件数も世界金融危機後に増えている由(ただし2014年がピークでその後は減少)。
主要な結論は以下:
・アナウンス後の株価(CARs: Cumulative Abnormal Returns)は平均7%低下し、CEO交代や倒産の頻度が高まる。後者については、因果関係が逆の可能性もあるので、causalかどうかは不明。
・long campaignに比べて大きな企業がターゲットになりやすい。long campaingの場合、voteを通じてターゲット企業に圧力をかけるには株式を買い増すための資金制約の問題があるが、short campaignの場合には資金制約は相対的に小さいので時価総額が大きな企業がターゲットになりやすい。
・Short campaignは経営に直接働きかける訳ではないので、他の投資家への情報伝達の中身や手段が重要。投資家向けコンファレンス、有名なメディアでのannoucement、ターゲット企業の問題点を具体的に特定したannouncementの場合、CARsの低下が大きい。
専門外だが、新たなfact findingsを売りにした論文の印象。対面でのセミナーだったせいもあるかもしれないが、質疑は活発で(=報告者が最後までたどり着かなく)、こちらの金融のファカルティはasset pricingに関心をもつ人の割合が高いせいかなと思った。逆にbankingの人は日本よりも少なく、アメリカと日本の土壌の違いが研究テーマの選択に直結しているように思う。
2023/12/14追記:RFSにacceptされたようだ
Last update: 2022.09.09